千葉市では今、都市アイデンティティ確立の取り組みを進めています。
「アイデンティティ」という言葉は、日本語で表すのが難しいのですが、手持ちの国語辞典を引いてみますと、「それが、他とは異なる、まさにそのものであるということ」といった意味が載っています。
では、「都市アイデンティティ」とは何でしょうか。
私たちは、「千葉市固有の都市イメージを確立し、市内外に発信していくための客観的な『千葉市らしさ』」であると考えています。
昨年、「消滅可能性都市」という言葉が世間を賑わしたのは記憶に新しいところですが、この千葉市も、現在の推計では2020年(平成32年)をピークに人口が減少に転ずる見込みです。
これを防ぎ、今後も持続的に発展し続けるためには、都市活力のバロメータである人口の減少に歯止めをかけ、交流人口・定住人口を増やし、市民や市外の方々に「住み続けたい」「住みたい」「訪れたい」「働きたい」と思ってもらえる都市を目指すことが必要であり、そのためには「都市アイデンティティ」を確立していくことが大変重要であると思います。
こうした「千葉市らしさ」は、本市が持つ他の都市にはない魅力やルーツによって形成されるものだと考えています。そこで、重点的に取り上げていきたいのが、「千葉氏」や「加曽利貝塚」、「オオガハス」、「海辺」です。
特に「千葉氏」は、今から889年前の1126年(大治元年)に千葉常重が亥鼻周辺に館を築いて千葉のまちを開き、その息子である千葉常胤は、源頼朝を助けて鎌倉幕府の成立に大きく貢献したことで有名です。幕末に活躍した江藤新平や、「武士道」の著書新渡戸稲造なども千葉氏の子孫です。
このほかにも、千葉市には、独自の長い歴史の積み重ねがありますが、歴史を身近に感じられる街並みや風景が多くないため、これまであまり認知されておらず、活用もされてこなかったのが現状です。
今年度は、こういった自慢できる地域資源をもっと活用して、市内外に効果的に発信していくための戦略プランを策定し、都市アイデンティティの確立に全庁挙げて取り組んでいきます。
来年2016年(平成28年)は千葉開府890年にあたります。そして、2018年(平成30年)は千葉常胤生誕900年、2021年(平成33年)は市政施行100年、2026年(平成38年)は千葉開府900年と、今後10年あまりは歴史的な節目が続きます。
市民の皆様に「千葉氏」をはじめとする千葉市の歴史を身近に感じていただくことで、千葉市に愛着と誇りを持っていただけるチャンスですので、定着に向けたアピールに取り組んでいきたいと思います。
千葉市の市章(図1)も、実は、千葉市の歴史と深いかかわりがあります。千葉氏の紋章は月星(図2)と九曜星の併用ですが、市章はこの月星に、千葉市の「千」を組み合わせたもので、大正10年の市制施行のときから使われているものです。
街中で、市章を目にすることがあったら、ぜひ千葉市の歴史に思いをはせてみてください。
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