3.11の義援金を支援した女川向学館を運営する
NPOカタリバ 今村 久美 さんからのメッセージ
を紹介します。
カタリバでは、被災地の放課後学校「コラボ・スクール」を
開校してから、もうすぐ最初の年度を終えます。
http://sfml.jp/?c=39902&o=00Q10000005nUPJEA2&v=8f8a33f3
カタリバの今村久美です。
そして、ごぶさたしてしまっている方も、
多くいらっしゃると思います。
私は震災以降、宮城・岩手と東京を
行ったり来たりしながら、生活をしていました。
昨年夏までは避難所で寝泊りしながら、
今は岩手県大槌町のシェアハウスで皆と暮らしています。
コラボ・スクールを立上げるため走り回ってきて、
先週ようやく、中学3年生の高校受験が終わりました。
発表まで、生徒全員の「合格!」を祈って、
ドキドキしながら過ごしています。
この1年間、被災地で子どもたちと接してきて、
嬉しかったことがあったので、皆さんに共有させてもらいますね。
それは、目をキラキラと輝かせながら、将来の夢を話してくれる
子どもたちに、たくさん出会えたことです。
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私たちが立ち上げた「コラボ・スクール」は、
被災地で、勉強する場所を奪われた子どもたちに、
学習指導をする、放課後の学校です。
http://sfml.jp/?c=39903&o=00Q10000005nUPJEA2&v=0f7a24ec
なぜ私は、東北に行こうと思ったか?
もちろん、「可哀想な子どもたちのために何かしたい」
という想いもありました。でも、一番の動機は、
「この被災地で、たくさんのものを失った子どもたちの中から、
10年後に日本を支えるイノベーターが、
生まれてきやすいのではないか?」
そう考えたからです。
たしかに、震災による悲しみは、
子どもたちにとって、抗えない現実です。
私が今、大槌臨学舎で受けもっているクラスでも
26人中7人の生徒が親を失いました。
ふとしたことで、家族の話題になると、
目に涙を浮かべる子どもが、今もいます。
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でも、その悲しみに向き合うのが、彼らの課題でもあります。
この現実を受け入れて、自分自身で乗り越えていく。
そのために私たち大人ができるのは、
彼らに寄り添って、“悲しみ”を“強さ”に変えるための
学習機会をつくってあげることです。
私たちは、コラボ・スクールで「勉強」を教えています。
「何をやろうとしても、力が出ない・・」
震災後は、そんな風に落ち込んだ子どももいました。
彼らが、勉強を通じて「できることが増えた!」
「昨日の自分より、一歩前に進んだ」
そう実感することで、意欲が回復してきている。
学ぶことが、心のケアにもなっているんだと感じます。
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私が今いる大槌臨学舎で、親御さんたちから
喜ばれていることがあって、それは、
全国からボランティアさんが1週間単位で来てくれて、
代わるがわる勉強をサポートしてくれることです。
生徒たちは、「はじめまして」「ありがとう」、そして
「さようなら」を、たぶん日本で一番多く言う子どもでしょう。
コミュニケーション能力は、確実に育っているし、
なにより、震災前なら出会うことのなかった職業の方々、
大学生たちと勉強の合間に話すことで、
これまでは身近でなかった、広い世界を見通しながら、
大きな未来を、思い描きやすい環境が整ってきています。
子どもたちが、震災の悲しみを乗り越えるのに伴走し、
かつては与えられなかったチャンスを提供することで、
感謝の気持ちと明るさ、そして力強さを持って、
新しいことに挑戦する人が、この地から生まれるだろう。
そんな思いは、彼らの語ってくれる将来の夢を
聞いて、強くなりつつあります。
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「避難所でやさしく励ましてくれた看護師さん
みたいに、将来なりたい」
「福祉の仕事でお年寄りの方々のために働きたい」
「前は保育士になりたかったけど、病院で働く姿がかっこよくて、
震災後、薬剤師を目指すことにしました」
「女川町はこのままではいけない。
自分が女川町を支えられる人間になりたい。」
「ここで集中して勉強して、消防士になる夢を叶えたい」
日本中と比較しても、公共心を持って職業選択を
目指す子どもたちが、本当に多くいます。
私のクラスでも、看護師志望が半分で、
福祉の仕事が1/4、自衛隊希望者も2人います。
“主体性”、そして“公共心”をもった子どもたちが
育っていること。
この事実は、とてつもない被害と悲しみをもたらした
震災の「希望」とも言える一面かもしれません。
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実はこれを始めた当時、「この活動は3年間をめどに
終わりにしてもよいのではないか」と思っていました。
子どもたちが奪われた“学ぶ場”を確保して、
失業した地元の塾の先生たちに、“雇用”を提供する。
地元の方々の独立を支援して、私たちは徐々に
手を引いていけばよいのではないか、と。
でも今、行政や学校、地域の方々、そして全国から集まった
ボランティア、遠くから見守る寄付者の皆様など、
さまざまな立場の人たちの力がコラボレーションして、
今までになかった、新しい教育のカタチが生まれようとしています。
被災地に限らず、この日本では“ナナメの関係”は
不足しています。子どもたちが希望をもって
未来をかたち創るための環境も、十分とは言えません。
このコラボ・スクールは、そんな日本、特に同じ過疎地に、
新しい教育のモデルを提示できるのではないか?
そんな可能性に、胸をワクワクさせています。
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生徒たちが震災という悲しい体験を“チャンス”に変え、
たくましく育っているのを目の当たりにするなかで、
「子どもたちを支える機能さえあれば、
この東北から、誰よりも強く、そして優しい
未来のリーダーが生まれるはず」
この1年間、信じてきたことが、少しずつ
現実へとなりつつある手ごたえを感じています。
資金や人材など、現実的な問題はたくさんありますが、
私は、このコラボ・スクールを3年以上続けたい。
今は、そう思っています。
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もちろん、これはカタリバだけでは、できません。
大事なのは、たくさんの大人たちが少しずつでも
教育に関わってくれるように、
“居場所”と“出番”を用意すること。
ボランティア、寄付、そしてさまざまな形での連携。
これまでたくさんの方々に関わっていただき、
ありがとうございました。
これを読んで興味をもった方は、ぜひWebをみて、
あなたなりの関わり方を考えてみていただければ嬉しいです。
【一人ひとりが参加してできた、被災地の放課後学校】
http://sfml.jp/?c=39902&o=00Q10000005nUPJEA2&v=8f8a33f3
それでは、長文にお付き合いいただき、
ありがとうございました。
今後ともコラボ・スクールを、そしてNPOカタリバを
どうぞよろしくお願いいたします。
今村久美 ~岩手県大槌町より~
P.S.
3月11日。皆さまはどのように過ごされましたか。
私は大槌町で、海岸供養に参列しました。
いろんな宗派のお坊さんのお経とともに、
お花を海にお供えしました
この1年間、本当にたくさんの方々に応援して
いただきました。ご寄付いただいた方など、
遠く離れた皆さまの分を、献花しました。
※写真→
http://sfml.jp/?c=39904&o=00Q10000005nUPJEA2&v=3b484d33
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> > 最近のカタリバのニュース
・女川向学館で卒業式を催しました(第2部では“カタリ場”も)
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・毎日新聞の社説に掲載されました
(「NPO革命」を進めよう)
http://sfml.jp/?c=39906&o=00Q10000005nUPJEA2&v=e1d9654c
・「やくそく旅行」大槌・女川の卒業生が上京します!
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