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2016年10月20日木曜日

10月17日号 日経グローカルに掲載 ~シティプロモーションの取組み~



日経グローカル 1017日号 掲載原稿

千葉県佐倉市議会議員 高木大輔

タイトル:定住人口・交流人口の確保に向けたシティプロモーションの考え方

プロフィール:1971年岐阜市生まれ。名古屋商科大学大学院マネジメント研究中退。㈱梅澤(現・三井食品㈱)で19年勤務。2011年佐倉市議会初当選。現在2期目。
                                                  

マーケティング手法を用いたシティプロモーション
20114月、約3年間の地域活動を通して佐倉市176千人の抱える様々な問題を発見し政治の世界で、「民間企業・流通の経験を活かし、地域資源を活性化することに取組みたい」と強く思い、19年間勤務した流通業界から政治の世界に飛び込みました。
20154月に2期目を迎え、地方創生が叫ばれる中、佐倉市でも定住人口・交流人口の確保を目的としてシティプロモーションの取組みが重点課題に掲げられ、担当班が組織されました。
シティプロモーションは、少子高齢化時代、地域間競争の中で自治体の政策として、「いかに差別化し、定住・交流人口の確保し、市民が地元愛を育む取組みとして地域のイメージを高めることで、ブランド化し、知名度を向上させる活動」だと私は、定義付けサラリーマン時代に培ったマーケティングの考え方を応用できると考えるようになりました。
それから、20158月から20168月議会では、「佐倉市のシティプロモーション」について5回連続で議会質問し続け、各質問の過程で私のシティプロモーションの考え方が変化してきました。その期間、先進市で取組む担当者と出会いなどを通じ、気付いたことを今回、報告させていただきます。

    平成278月議会 現状分析~SWOT分析・AIDMA~ 
 最初の議会での取組みは、佐倉市の現状分析を行い、佐倉市の課題を探るために、「強み・弱み・機会・脅威」を内部・外部環境で分析するSWOT分析でした。国勢調査や市民アンケートなどで分析する材料は行政として把握していますが、上手く活用ができていない点を指摘し、SWOT分析をはじめとした、マーケティングの考え方を取り入れるべきだと提案しました。議会質問を深める中で、執行部から出た回答は、佐倉市の目的は「定住人口・交流の確保」であり、定住までのステップにおいて、マーケティング手法であるAIDMA(認知・関心・欲求・記憶・行動)の考え方を取り入れていきたいなど、今議会からマーケティング用語が議場で発言されるようになりました。ここからシティプロモーションの取組みがスタートしたと考えます。

    平成2711月議会 ~情報発信と民間出身者の採用について~
2回目の議会では、それぞれの専門分野でシティプロモーションの取組みを推進されてきた、公募採用の民間出身の千葉市、船橋市、横須賀市、宇都宮市など自治体の規模には違いますが成果を出されている担当者にお会いし意見交換させて頂きました。
意見交換していくと情報発信についての取組みが佐倉市として課題だと考え、議会では、「シティプロモーションの目的・課題に沿った専門性のある民間出身者の採用」と「市内外に情報発信する際の情報収集や、各メディアに発信する、プレスリリ-スの仕組みについて」議会で取組みました。
 議会質問の結果、民間出身者の採用は調査・研究することになり、プレスリリ-スについては、船橋市では庁内で記事の書き方やタイトルなど情報の伝え方を学ぶなど意識を高めフォーマットの統一した事で、メディアからの注目を集めている成果事例とし、佐倉市役所庁内でのプレスリリ-スのフォーマットが統一されることになりました。

    平成282月議会 ~アイデンティティ・シビックプライド・ブランド化の構築~
 3回目の議会質問では、今、振返ると、最初にシティプロモーションとして取組まなければなかった、「佐倉のアイデンティティ」に関する質問を行いました。
佐倉市アイデンティティとは、地域として積み重ねて来た歴史・文化のストーリーを市民が理解し、佐倉市民であることに誇りをもつと同時に、個々で発信する情報にも付加価値が構築されて行く仕組みをつくることを考えました。
取組みの事例として議会で取り上げたのは、千葉市が取組んでいる「千葉氏開府890年」の取組み、千葉市固有の都市イメージを確立し、市民の皆さんがまちに誇りをもち市内外に発信していくための客観的な『千葉市らしさ』の取組み」を参考に議会で提案させて頂き、執行部にシビックプライド醸造、ブランド化についてのイメージ戦略の研究について要望した議会となりました。

    平成286月議会  ~日本遺産認定と地の利を活かした観光の推進と予算確保~
 佐倉市の交流人口を増やす取組みとしては、江戸時代には千葉県下最大11万石の佐倉城があり城下町として栄えた事、佐倉城跡には現在、国立歴史民俗博物館、武家屋敷や旧堀田邸等の観光スポットもあります。観光面においては、電車で都心まで60分、千葉市や成田空港まで約20分の地の利の良さがあります。
また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたシティプロモーションの観点も含め行っています。今年425日には、地域の歴史的魅力や特色を通じて、日本の文化・伝統を語る「ストーリー」を文化庁が認定する日本遺産に、佐倉は「北総四都市江戸紀行・江戸を感じる北総の町並み~佐倉・成田・佐原・銚子:百万都市江戸を支えた江戸近郊の四つの代表的な町並み群」として認定されました。
一方で課題は、観光面では国に地方創生関連の予算を申請していますが、自己財源は、投資する時期にも関わらず前年並みの予算となっており、担当職員も現状維持の状況です。予算化と民間からの人材確保など市の管理職である執行部との交渉などに関して、議会質問をしましたが、前向きな答弁は引き出せませんでした。交流人口の確保という視点では、佐倉の地域資源を活用し、強みを活かすタイミングだと判断し、少しでも早く取組める様に継続しています。

    平成288月議会 ~更なる、地域資源の発掘 PDCAサイクルを何度もまわす~
 約1年間・5回連続でシティプロモーションを議会質問として取組んで来ました。各自治体によって目的に違いがあり、佐倉市は定住人口・交流人口の確保ですが、千葉市や船橋市などは知名度のアップやイメージ向上、シビックプライドの醸成などが目的になっています。どの自治体にも言えることですが、シティプロモーションの視点はあいまいで場当たり的なものになりがちです。シティプロモーションの出発点は「シティアイデンティティ」歴史・文化等の地域資源を掘り下げることで基軸を創ることだと、議会での取組みを通じ実感しました。
佐倉市は優位性のある歴史・文化について再度検討し、ブランドの軸を考えながら、ターゲットを絞り込んでマーケティングの視点で進め、徹底的にPDCAサイクルを回し掘り下げ、そこに軸をおいた定住促進のためのプロモーションや施策について、一貫性を持って取り組むことが最も有効だと考えます。
今後は、市民・職員、議会など佐倉市に愛着をもってもらう仕組みを考えながら「オール佐倉」で地域資源を掘り下げていき、全国の事例などを参考にしながら、「住民福祉の向上、安心・安全のまちづくりを掲げ、選ばれるまち佐倉」となる様、定住人口・交流人口の確保に向けたシティプロモーションの取組みに磨きを掛けてまいります。


以上

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