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2016年10月30日日曜日

宮崎県日向市商店街の復活の裏側

「シャッター商店街」再生、全国から視察相次ぐ
読売新聞 10月8日(土)8時51分配信より



 「シャッター商店街」再生、全国から視察相次ぐ
 宮崎県日南市の商店街が「シャッター通り」からの復活を遂げ、全国から視察が相次いでいる。

 市が公募した「活性化請負人」の地域コンサルタント木藤(きとう)亮太さん(41)が2013年7月に着任して3年余り。イベントでにぎわいを演出し、約80の店舗区画のほぼ半数が空き店舗や空き地だった商店街に、飲食店やパン工房など17店舗が次々と進出した。人通りも大幅に増え、関係者は地域再生に確かな手応えを感じている。

 9月下旬、日南市中心部にある油津商店街。地元特産の飫肥(おび)杉で長さ30メートルのカウンターをしつらえた長屋風の「あぶらつ食堂」をはじめ、おしゃれな雰囲気の喫茶店や2代目の豆腐店など個性豊かな店が並ぶ。近所のお年寄りがベンチで談笑し、子連れの母親や昼食先を探す会社員がアーケード内を行き交う。

 「ここが出店第1号の喫茶店です」。福岡県から視察に訪れた中小企業団体の会員を木藤さんが案内した。「新規店舗を誘致するコツを知りたい」「出店希望者の開店資金が足りないときは」。矢継ぎ早の質問に、「一緒に事業計画を考えることが大事」と強調した。

 木藤さんは福岡市で地域コンサルタントとして、街づくりの企画や設計に携わっていた。13年、日南市が中心市街地活性化事業で月額90万円の待遇で公募した「テナントミックスサポートマネージャー」に申し込み、その発想力が買われて333人の中から選ばれた。

 家族で日南に移り住んだ木藤さんは早速、商店街に市民がくつろげる交流場所を設け、長いアーケード街をレーンに見立てた50メートルボウリング大会やファッションショー、七夕祭りなどを次々と開催した。「商店街に行けば何かある」と市民が忘れかけていた期待感を醸成するのが狙いだった。

 翌年には市民有志とともに、店舗誘致の中核となる株式会社「油津応援団」を設立し、出資者を募った。新規店舗の開設から運営まで、応援団が一貫してサポートする仕組みを築いた。

 第1号の喫茶店は応援団直営。続いて、国や市の補助も受けてスーパー跡の建物を商業施設「多世代交流モール」に改築した。市民がパーティーやダンス教室など様々な目的で使えるフリースペースを設け、一度は地元を離れた市出身者らが、中華料理やホルモン焼きなどの店を出した。

 飲食店の進出が呼び水となり、就活や生活情報サイトを運営する東京のIT関連企業までもが支店を構えるようになった。

 躍進は全国の注目を集め、東京や愛知、岡山など各地の商工会議所や大学、街おこし団体などの視察団が続々と訪れた。木藤さんが対応した分だけでも、視察は14年度の28件から15年度は48件に増え、今年度は8月までの5か月で31件と前年を上回るペースだ。

 商店街の人通りも着任前の13年3月は1日当たり411人にとどまっていたが、今年3月には倍以上の1006人になった。5月には中小企業庁が選ぶ「はばたく商店街30選」に入った。

 木藤さんの任期は17年3月まで。ノルマの「新規20店舗の誘致」は達成までもう少しだ。「商店街の空気が変わってきた。ある意味、今がスタートライン。商店街が『独り立ち』できる環境を整えたい」と意欲を見せている。(小林隼)

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