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2012年1月28日土曜日

大隈塾稲門会の勉強会 ~教育問題について 松田 悠介 (特定非営利活動法人 Teach For Japan 代表)~

≪第十四回 早稲田大学 大隈塾稲門会≫ 
松田 悠介 (特定非営利活動法人 Teach For Japan 代表)
http://www.learningforall.jp/

地域、家庭、学校の関係を考える!!
教育、被災地のこどもたちが日本を変える!!




体育教師を辞め、「すべての子供たちが良い教育を受けられるチャンスが与えられるべきだ」と理念を掲げ、行動に移した松田氏。若い社会人に現実的な夢の掲げ方とその実行力の重要さを説く!

松田氏の挨拶を紹介します。

日本において、子どもの7人に1人は貧困状態にあるニュースが出た時は多くの方々が驚いたかもしれません。OECD加盟国の中でも、日本は相対的貧困率が4番目に高い国になっています。
 世帯年収を背景として生まれている子どもの教育格差をはじめ、子どもの学力、教員の資質、ICT教育といった面において、教育分野は多くの課題を抱えています。教育に関する統計やニュースを見て、多くの方が「何かがおかしい」と感じているのではないでしょうか。
様々な教育問題がある中で、私が特に危惧をしている問題は、経済的要因によって教育の機会が限られてしまう子どもが多く存在することです。文部科学省の発表によれば、2010年の就学援助の対象となった児童・生徒は155万人と母数全体の15%を上回ります。
生まれた家庭の生活環境によって、子どもたちの学習機会・学習意欲は大きく左右されてしまいます。学習環境が学力や進学に大きな影響を与え、大人になって進むキャリアが決まってしまうのです。生まれた時点で将来が決まってしまっている子どもたちがいる、この状況に対して強い違和感を覚えます。
子どもたちの未来が、生まれた地域環境や家庭環境によって、絶対に左右されてはならない。
私のみならずTeach For Japanのメンバーは皆、同じ”想い”を持っています。
そして、私たちは子どもと向き合う「人」を通して、この状況を絶対に打開できると信じております。
Teach For Japanは、この子どもたちの「明日」を信じているリーダー、すなわち優秀で情熱のある人材を教育の世界に送り込みます。そして、厳しい環境にいる子どもたちのハードルを一つずつ取り除く事で、教育格差の問題を解決します。
Teach For Japanの教師は、学習意欲が高くない子どもを前にしても諦める事なく、子どもと向き合い続ける事で信頼関係を構築しながら子どもたちを導くのです。
子どもと一緒に高い目標を設定して、子どもの半歩先を照らしながら成功体験を経験してもらうことにより、子どもの自尊心の回復や自己肯定感の向上に繋がると信じて活動しております。
50年後、家庭の経済環境によって子どもたちの未来が左右されない社会を実現します。
経済環境によって子どもの未来が左右されない社会の実現を目指して、熱い仲間たちとともに、熱く全力で事業に取り組む覚悟であります。



  • 【第14回 大隈塾勉強会 議事録】   文責:稲福(高野3期・岸井1期)

    ■基本情報
    日時   :2012/01/28 17:30~19:30
    場所   :早稲田奉仕園 101号室
    ...特別講師 :Teach For Japan 代表理事 松田悠介 様
    参加人数 :24名 + 松田様

    ■summary

    まず、今回のゲスト招致を主導した
    NLPの河田さんから、今回の講演者の松田さんについて、
    「会社に入って何年か経つとふと"?"を抱く時期が来る。
    そのような時に思い切って決断してそれを形にした方のお話は必ず参考になる」
    とご紹介がなされた。

    次に、「Teach For Japanに至るまで」「Teach For Japanについて」という2本立てで、
    ゲストの松田さんから講演を行っていただいた。

    その鍛え抜かれた「プレゼンテーション能力」は伊達ではなく、
    参加者は皆、松田「先生」の「生徒」であるかのように、
    真剣な表情で「授業」を受けていた。
    あまりに真剣すぎたので松田さんの冗談に反応できなかったくらいである。

    質疑応答では、まだ始まって間もないTeach For Japanという活動の
    具体的な取り組みについての質問が行われた。
    質疑応答の内容が、Teach For Japanが行おうとしていることをよく理解した上での
    内容となっていた点からも、松田さんの90分間のプレゼンテーションが
    いかに効果的で、参加者にしっかりとその内容を伝えられていたかが解る。

    質疑応答の中では、村田先生から、
    「教育格差とはその子が抱えているハードルを解決していくことなのだと解った」
    というコメントを頂いたり、
    構想日本の西田 陽光様から
    「今の人たちはすぐに答えを求めようとするが、『自分で考える』ことが大事。
    そのような人たちを育てようとしているすばらしい活動ですね。」
    というコメントを頂いたりするなど、参加したメンバー全員が
    松田さんの提起した問題について「当事者意識」をもって受け止めることが出来た、
    熱く楽しく、有意義な会となった。


    ■議事

    1)近況報告

    ゲストをお呼びした「特別講演」であるため、今回は省略いたしました。

    2)講演者の紹介-河田さん
    ●経緯
    東大の中原先生の講義を受講している際にたまたま席が隣だった。
    「何か面白いこと」を計画しているということなので興味をもっていたが、
    それからすぐにこのような大きなことを成し遂げたという点で尊敬している。

    会社に入ってしばらく経つと、"?"を感じる時がくる。
    そのような時期に「海外に留学する」という新しい挑戦をした
    松田さんのような人を見ておくということは、良いアンテナを持っている大隈塾の面々にとって良いことであると考えた。

    ●松田さんの印象
    経歴が示しているとおり、プレゼンテーション能力は鍛えられている。
    FacebookのようなSNS、とNPOという組織、という組み合わせに新しい時代を象徴する何かを期待している。

    3)講演-松田悠介 さん
    [[アイスブレイク]]
    「NPOとしてのキャリア」というテーマを頂いていたが、
    これまで自分が取り組んできたことをお話しすることで、
    そのテーマに応えられると思うので、そういう話にさせていただきたい。
    具体的には、前半はこれまでの自分の取り組みについて、
    後半はTeach For Japanについて話したいと思う。
    自分は常に自分がしたいと思っていることをしてきた。
    社会を変えたい、と思って行動したことはないので、「社会事業家」という言葉には疑問がある。
    現在28歳。
    仕事は大変だけれどもとても楽しい。

    [[前半:Teach For Japanに至るまで]]
    ●何かに「なりたい」と思うこと
    -松田さんは常に「教師になりたい」と思ってきたが、それは中学時代の「原体験」によるところが大きい

    「何かになりたい」という思いの背後には必ずそのきっかけとなった「原体験」がある

    ●中学時代の「原体験」
    中学時代-成績が悪く、体も小さかったため「いじめられっ子」だった
    ⇒「自尊心」が低かった


    中学2年となり、「今年こそは友達を作ろう」と思っていたら・・
    →ある子(O君)と「お友達?」になった
    ↓と思っていたら・・・
    その子は「ジャイアン」もとい、典型的な「いじめっ子」だった
    ↑昼休み時間毎に柔道技をしかけてくる
    ↑現在も後遺症が残るほどの強烈な攻撃
    but, 周りは見て見ぬふりや笑いものにするばかり -> 孤独感 自殺も考えた

    このような状況の中で恩師と出会う

    恩師である体育のM先生「松田、どうすれば強くなれるか一緒に考えようぜ」
    ↑今までこういうこと(どうしたらいじめられなくなるのかということ)を考えたことすらなかった

    →ノートに自分がいじめられている原因を3つ書いてみた
    1) 身長が低いから
    2) 筋肉がないから
    3) 抵抗しないから

    [身長伸張計画]
    身長が低い ⇒ 身長を伸ばす
    →そのためには「カルシウム」を採らなければならない
    ↑でも実は「マグネシウム」も2:1の割合で必要
    ↑マグネシウムはココアに含まれているらしい
    →ではココアを飲もう
    ↑身長を伸ばすためには「成長ホルモン」の働きも必要なようだ
    ↑「成長ホルモン」は寝ると分泌されるらしい
    →では規則正しく睡眠をとろう

    ⇒ものすごく身長が伸びた ※成功体験

    [筋肉増強計画]
    筋肉がない ⇒ 筋肉をつける
    ↑2週間やそこいらでは駄目で、継続的に行う必要がある
    →毎日トレーニングを積み重ねた

    ⇒体が強くなった ※成功体験

    身長が高くなり、体が強くなった結果・・・
    ⇒いじめっ子のO君が来なくなった
    =いじめの対象でなくなった ※成功体験

    余談)かつての「ガキ大将」は自分より強い相手に向かっていったが、
    今のいじめっ子は自分より弱い対象を見つけていじめる

    どうして強くなれたのか?

    恩師M先生の指導のおかげ
    →M先生の指導
    「半歩先を照らしてくれた」-「答」を全部教えるのではなく、自分で考えさせ、その上で応援しながら見守ること
    「エンジンをかけてくれた」-本人の自発的なやる気を喚起するこ

    今の教育の問題点
    -先生が無理矢理「動かして」いる状態→大学に行って「動かしてくれる」人がいなくなると、とたんに何もしなくなる

    「マニュアル車」の喩え=常に進む準備が出来ていて、アクセルを踏みさせすれば動き出すことが出来る

    ↓↓
    「自分も学校の中で困っている生徒を照らせる存在になりたい」
    「自分も(嫌いだった)体育が好きになったように、体育を好きになってもらえるような人になりたい」
    ⇒「教師になろう」

    ●充実した「教師」時代
    -大学卒業後、念願かなって教員に
    ↑教師の仕事はとても充実していた
    「これほどやりがいがある仕事はない」

    2つのやりがい
    (1)子供たち
    ↑「打てば響く」=こちらが準備すればするほど、それに応えてくれる ⇒ やりがい

    (2)多くの人に影響を与える仕事
    ↑年間700人の子供をみる
    →年に数百人、2年間でも1,000人以上の子供たちの人生に携わることが出来ている

    余談) いわゆる「学級崩壊」の原因は、教師の準備不足
    ・子供たちが楽しいと思えるような「コンテンツ」を提供出来ていない
    -45分の授業には少なくともその10倍の450分の準備が必要
    -授業の最初に「ゴール」を示す
    「これを学習するとどのようないいことがあるか」
    ex. 「比例」が解ると未来が予測できる
    ↓7分間の導入でどのくらいの生徒がついてこられているかチェッ
    ←生徒がついてきていない場合はプランB、プランCと柔軟に変更 ←事前の準備が必要なところ
    ・毎年同じ「指導案」を使い回している
    -何を教えるのか、という肝心な点が十分に練られていない

    ⇒がんばればがんばるほど自分が楽になる・・・のに、がんばっていない

    ●教師を離れる決意をしたきっかけ
    -ある日廊下を歩いていたら、授業の45分間、ずっと黒板を見たままの先生がいた
    ↑その間生徒は思い思いのことに一生懸命で、当然ながら授業を聞いていない

    ↑「生徒の大事な45分を預かっている先生がこれでいいのか?」

    悩み:「自分だけはがんばっていればいい」という生き方も出来る、が、
    自分はこれから先ずっと(見て見ぬふりをする)というこの状況に耐えられるか?
    ⇒NO

    いったん現場を離れて、この原因の根本治癒に携わってみたいと思った
    「そのうち必ず現場には戻る」

    ●アメリカへ
    まずは「行政」かな?

    教育委員会へ・・・

    but, 教育委員会で待っていたのは「仕事」の山
    しかも、周りは30代後半より上の「課長」や「課長補佐」クラス
    →とても自分の話を聞いてもらえそうにない

    自分は「今」何かをしたいのに、目の前のタスクをこなしているだけで何も出来ていない

    今は、「行政」ではないかな?

    ⇒ アメリカへ
    -100年間の教育改革の実績で培われたものを学びたい
    ↑自ら700万円の借金をしてアメリカの大学へ

    ●貴重な体験とTFA
    アメリカでの貴重な体験
    -17の国から、3年以上の教育関係の実務経験のある人々が集まってきていた
    ↑多様なバックグラウンドを持つ人たち
    ←アメリカは「チャータースクール」の制度があり、誰でも「学校」が作れる
    →30代で校長の人、教育長をしている人、など様々

    松田さんがこの留学などを含めて自分への投資として使ったお金は1,000万円超
    →しかし、これから40年、と考えれば月に4~5万
    ↑「それだけの価値はあった」

    そして、Teach For America と出会う


    [[後半:Teach For Japanについて]]
    ●Teach For Americaという「ムーブメント」
    -1990年にアメリカの(大学を卒業したばかりの)1人の女性が立ち上げたNPO
    (※参考文献
    ウェンディ・コップ『いつか、すべての子供たちに――「ティーチ・フォー・アメリカ」とそこで私が学んだこと』、英治出版、2009
    http://d.hatena.ne.jp/TREIZE/20120128/p1 (書評))

    ウェンディ・コップ(TFAの創立者)の「原体験」
    -自分の同輩たちが、これまで受けてきた教育と、自分が受けてきた教育との「格差」に衝撃を受ける

    子供たちをとりまく環境
    ・地域
    ・家庭
    によって、子供たちが受ける教育(学校)に大きな「格差」があることに気づく

    「生まれた地域環境・家庭環境によって子供の未来が左右されてはならない」


    では、どのように子供たちを救えばよいか?

    TFAのモデル
    「この国でもっとも困難な地域にこの国でもっとも優秀でエネルギッシュな人々を送り込もう」

    ↓それから20年・・・
    TFAは2010年の全米文系学生就職先人気ランキングでGoogleやAppleを抑えて1位となる
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB
    ⇒TFAは教師を「かっこいい」職業にした

    ●Teach For Americaがアメリカに与えた影響
    [短期]
    -2つの目立つ効果
    (1)TFAのメンバーの力によって、子供たちが(自分自身の人生に対して)「高い」期待を持つようになる
    ←子供は「期待されていない」という状況を感じ取って「諦め」ている
    ↑TFAの教師が子供たちに高い目標を示す
    +きちんと、そこに至るための道筋も示す
    =単なる「夢物語」ではなく、手が届く「夢」となる

    ↑この活動は米政府の「No Child Left Behind」(落ちこぼれゼロ)政策にも貢献した
    (政府にも好印象を与えた)
    http://en.wikipedia.org/wiki/No_Child_Left_Behind_Act

    (2)他の先生にも良い影響を与える
    ↑TFAの教師がリーダーシップを発揮し、組織に影響を与えてい

    [中期]
    -社会に必要な人材を排出する

    社会に必要な人材 ≠ 単に「優秀な」人材

    TFAの教師は、
    課題があるところ(現場)に自ら飛び込んでいく
    課題を明確にし、それを解決していく
    リーダーシップを発揮する
    プレゼンテーション能力を身につけている
    →企業から引く手あまた
    ↑にも拘わらず、
    「あなたはTFAの2年の後、教育関係の職種に携わっていると思いますか?」という質問に対して、
    始まる前は6~7%の参加者がYes.と答えていたのに比べて、
    2年間の活動を経た後には66%もの人がYes.と答えるようになっていた
    ↑彼らを変えたのは「当事者意識」
    =自分たちもこの問題の「当事者」なのだ、という意識変革

    ↓↓
    [長期]
    結果として、依然として残りの34%は「教育」とは直接関係のない職種に行くわけであるが、
    それでも「教育」に対して高い意識を持った「リーダー」となっていく
    その結果彼らは、
    教育に肯定的になる
    教育にお金をかけるようになる
    教育にプラスとなる予算や法案を積極的に通していくようになる

    ex. オバマ大統領も大統領就任演説で「教育」について言及するようになるまでアメリカは「変わった」

    ↑松田さんが惹かれたTFAの力は、まさにこの「長期的」な影響

    ●日本の教育の問題点
    翻って、日本・・・

    日本における「教育」の所在は・・・「所詮『教育』問題」

    皆、「教育」に「関心があ」り、「教育」について一家言あるが・・・結局は「他人事」
    →「教師どうにかしろ」「親どうにかしろ」「政府どうにかしろ」あげくは「子供どうにかしろ」
    ↑自分は?←何もやらない

    ex. 「モンスターペアレンツ」←もともとは自分の子供たちに「良い教育」を受けさせてあげたいという気持ちから口を出していた
    →誰も応えてくれないから「モンスター」と化す
    ↑この人たちを「モンスター」と呼んでしまったらそれで(コミュニケーションが途絶えてしまうから)終わり

    ●日本の教育格差
    (※議事録作成者の個人的な参考文献
    苅谷剛彦『大衆教育社会のゆくえ―学歴主義と平等神話の戦後史』、中央公論社、1995
    苅谷剛彦『階層化日本と教育危機―不平等再生産から意欲格差社会(インセンティブ・ディバイド)へ』、有信堂高文社、2001
    佐野眞一『この国の品質』、ビジネス社、2007
    ↑「ルポ下層社会」(『文藝春秋』2006年4月号 収録)に足立区の教育格差についての秀逸なレポートあり)

    この国に「格差」はあるのか? ←愚問

    ex. 高所得者層の現役大学合格率:約65% ⇔ 低所得者層:約28%

    大学に行くことが全てではない・・が、大学に行くことでキャリア選択が広がる
    そして、「教育を通した『階層』の再生産」
    正社員の生涯賃金:約2~3億円    ⇔ 非正社員:1億円未満
    大卒の正社員定着率:約53%      ⇔ 大卒未満:約5%
    犯罪者の約9割が高卒以下
    中学生(女子)の卒業後人気職業のNo.1は「キャバクラ嬢」

    この問題に対する国の政策 → 「就労」支援

    しかし・・・「彼ら」に提供できている仕事は
    期間限定
    最低賃金
    そして・・・つまらない 仕事

    ↓結果として
    「生活保護」←国の予算から3兆円
    -30代2人子供の世帯で月23~24万円の支給

    ↑これらの政策は国民の働く意欲を削いでいる

    ・・・ということへの対策も必要、だが、

    kids can't wait

    その補完としての活動(困難な状況にある子供たちの未来を「今」救うこと)も必要である

    ↑松田さんたちはこれを目的として活動している

    「努力しなかったやつが悪い?」
    NO
    そもそも「機会」に差がありすぎる

    何よりも「問題」なのは、
    「この問題(困難な状況におかれている子供たちの未来が奪われていること)が知られていない」ということ

    ex. 福岡には生活保護世帯が70%にも昇る学校がある

    ←この状況の中でまともな教育政策を掲げている政党がいない
    Why?
    Because ヒョウニナラナイ

    票になる話=65歳以上の投票率が高い層にうける社会福祉の話

    ●Teach For Japanの活動
    「学力保障」
    ・教師派遣事業
    ↑最初の3年間は教員免許保持者・・・の中でも優秀でやる気のある人を派遣する

    but, Teach For Americaが成功した要因は「教員免許を保持していない」優秀な人を派遣したから
    ↑だからこそ社会に強いインパクトを与えた

    ↑Teach For Japanもこれを目指していく

    ↓注目している制度
    臨時免許状-自治体権限で、3年間限定の「教員免許」を付与出来
    but, これまでの付与実績は全て「教員免許」を持つ者への付与 ← ここは「こじ開けて」いく
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%99%E8%82%B2%E8%81%B7%E5%93%A1%E5%85%8D%E8%A8%B1%E7%8A%B6#.E8.87.A8.E6.99.82.E5.85.8D.E8.A8.B1.E7.8A.B6

    ・学習支援事業
    -大学1~2年生を派遣する
    目的:早い段階で「教える」という経験を持ってもらう
    ←教育の本当のやりがい、意義を感じるのは実際に教育現場に立ってから
    ↑今の日本の教員養成システムでは、大学4年生の教育実習で初めて「教える」という経験をするが、
    そのときには「優秀でやる気のある」人材は既に企業の内定をもらってしまっている
    ←早い段階で「教える」ことのすばらしさに気づき、そちらの道を考えてもらう機会を提供する

    勿論、「子供たち」のための活動でもある

    ●Teach For Japan はこれまでの教師派遣業と何が「違う」か
    "We recruit"
    -厳しい選抜を行っている
    ↑TFJは「ミッション」を持っている
    →「ミッション」の遂行に耐えうる人材でなければならない

    ←困難な状況におかれている子供たち ←基本的に「大人」を信用していない
    ↑その中でせっかく信頼関係を築けた教師(「大人」)が途中でいなくなられては困る

    "Our support"
    -充実した研修を行っている
    →子供に教えるのは 30時間
    ←研修時間は 60時間

    ↑情熱だけでは困難な状況を打開できない
    →know-how が必要

    ↑ボランティアが続かないのはknow-howを持っていない(かった)から
    ex. 東北地方太平洋沖地震のボランティア
    →支援開始から半年で8割の団体が撤退 理由:人(の派遣)が続かない

    TFJは一度面倒をみた子供たちを「自立するまでずっと」支援し続ける

    "Our impact"
    -卒業生のネットワークを大事にしている
    ↑卒業してからも何らかの形で「教育」に関わっていき続けることが大事

    ←ただし、「全国展開」は慎重に行う
    ∵その地域の課題はその地域の人が解決しなければならない
    ⇒その地域に必ず1人以上のアントレプレナーが必要

    活動は東京から開始

    東京から、要請があった地域にナレッジ提供=スケールアウト
    ↓ ↑
    東京にフィードバック

    ●メッセージ
    ※「リスクを恐れることが最大のリスク」
    ←2年間、「活動」をすると新卒採用に応募出来なくなるのではないか?

    ※「君が入りたいその企業は40年後存続していますか?」
    -「40年間続かなかった場合、あなたの『市場価値』はどうなりますか?」

    グローバル人材 ≠ 言語が話せる
    =コミュニケーション能力、課題解決能力

    ※「気づいてしまった人の責任」
    -問題に気づいてしまった人はもうその問題の「当事者」

    そして・・・
    1人1人の小さな行動の積み重ねが「ムーブメント」となっていく


    4)質疑応答

    ●質疑応答(Facebookのイベントページ(http://www.facebook.com/events/296503517055789/)に寄せられた質問から)
    Q河田さん:
    日本でこれから行われるTeach For Japanと
    海外の他のTeach For Allとの違いについて教えてほしい。

    A松田さん:
    Teach For Japanの特徴は、「学習支援事業」。
    これによって「早い段階」で人材を獲得することが出来るようになる。
    また、自分はTFAを日本でやりたいわけではない。

    Q河田さん:
    Teach For Allのネットワークに入るメリットは何か?

    A松田さん:
    20年分のナレッジを得られるという点が最大のメリット。
    資金的な面では特に期待していない。
    世界の仲間がいるということが大事


    Q稲福:
    (日本の研究者の)研究結果で報告されるように、教育格差の主たる原因は「家庭環境」。
    Teach For Japanは「家庭」に対しては、どのように働きかけていくか。
    A松田さん:
    {ホワイトボードに向かって文字を書く}
    kids can't wait
    確かに「家庭環境」は問題であるかもしれないが、子供は(その問題が解決されるまで)「待つ」ことが出来ない。
    まずは「学校」、「地域」から取り組み、「家庭」に影響を与えていく。
    (「学校」で子供に影響を与えることで)子供を通して「家庭」に影響を与えていくことも出来る。
    そういう実例も現れている。
    稲福:
    子供から「家庭」に影響を与えるという発想は非常に斬新であり強い意気込みを感じる。
    とても期待できるので応援したい。


    ●質疑応答(その場の質問受付)
    村田さん:
    感想として。
    「教育格差」とはその子が抱えているハードルを解決していくことなのだと解った。
    まずはその子と向き合っていくことだと。
    また、別の話になるが、大隈塾をどうやったらNPO化出来るか考えていたが
    今日の話を聞いて、「やらんといかんな」と感じた。


    西田さん(構想日本):
    私からも感想を。
    日本の有識者たちは大変熱心に問題について語るが、
    私は、1人の人間が自分が関わった人に影響を与えていくことでしか(物事は)変わっていかないと考える。
    政策では何も変わらない。
    それに、10年、20年で変わるようなものでもない。
    ずっと変えようと思って、思い続けている人がいることが社会を変えていく。
    そのためにも、答えを求めるのではなく、自分で考えることが大事
    そういう人たちを育てていこうという姿勢に大変感銘を受けた。
    A松田さん:
    2つサクセスストーリーを紹介させてほしい。
    1つはTFA。
    活動が始まってから20年。最初に支援を受けていた子供たちが大学に来て、そしてTFAの教師となっている。
    彼らはそれまでの誰よりも良い取り組みが出来る。
    なぜならば、彼らは自分たちの体験から、目の前の子供たちが抱えている困難をより理解出来るからだ。
    もう1つは震災に遭った福島の子供たち。
    彼らは「地域の崩壊」と「転校」により「見えない敵」と戦っている。
    ある生徒は編入先の学校の中間テストでひどい成績をとって激しく落ち込んだ。
    それまで出来ていたことが出来なくなったというショック(と震災そのもののショック)だ。
    この生徒がLFA(Learning for Allの略称。現在のTFJの前身)の先生に教わることで、
    期末テストでは80人の生徒を抜いて良い成績をとることが出来た
    この生徒は「LFAの先生と出会えて良かった」と立ち直れただけでなく、
    「自分も大学に行きたい」と「高い希望」を持つことが出来るようになった。

    Q新原さん:
    TFJが今抱えている課題は何か?
    A松田さん:
    TFJが常に抱えている課題は資金の問題。
    このことをずっと考えている。
    この活動は続かなければ意味がない。
    そして、続けるためにお金が必要。
    だから、持続可能な寄付モデルを作る必要がある。
    これは持続可能な「ビジネスモデル」ではない。
    ビジネスにならなかったからこの問題が残っているからだ。
    よく「日本には寄付文化がない」と言われるが、ないのではなく、
    寄付文化を作れるだけのしっかりした活動をする団体がいなかっただけなのだ。
    Q新原さん:
    現場の教員に戻られたら、日本の体育教育をどうしていきたい?
    A松田さん:
    それは知らない。今はこれ、と固めたくない。
    今固めてしまうと、他を受け入れられなくなる。
    また、(今固めたもので教員になってしまったら)時代の要請に応えられなくなってしまう。
    だからそれは、現場の教員に戻ったときに考える。
    また、私は自分で学校を作りたいと思っている。
    (だからなおさら今から何かを「固め」たくはない)

    /以上

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